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 本作では、機長昇格への最終訓練に臨む副操縦士、初の国際線フライトに胸踊る新人キャビン・アテンダント(CA)、乗客のクレーム対応に追われるグランドスタッフ、離陸時刻が迫るなかメンテナンスを急ぐ若手整備士、窓際族のベテランオペレーション・ディレクター、ディスパッチャー、管制官、バードパトロールなど、1回のフライトに携わる多くのスタッフ達の姿がグランドホテル形式で描かれる。『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』などの矢口史靖監督が手がける、タイトルを裏切ったパニック映画である。

 副操縦士の鈴木和博(田辺誠一)は、機長昇格の最終訓練として乗客を乗せホノルルに向け飛び立つ。鈴木は威圧感たっぷりの教官であり機長の原田典嘉 (時任三郎)に、国際線デビューとなるCAの斎藤悦子(綾瀬はるか)は鬼チーフパーサーの山崎麗子(寺島しのぶ)に監視される中、ホノルルへのフライトは円滑にいっているように見えたが、何らかのメカ・トラブルに見舞われ、航路を変更することに…。

 さて、メカ・トラブルとはなんだろう。フライト前、伏線のようにいろいろなメカが映し出される。たとえばランディングギヤ(着陸装置)。機体が離陸した際にパイロットがギヤレバーを上方に引き上げると油圧のピストンとシリンダで構成されたアクチュエータが作動しランディングギヤを引き上げ格納、着陸時はギヤレバーを下げるとランディングギヤが展開される。2軸ターボファンエンジン。最前部のファンと最後部の追加タービンを支える低速軸系とコンプレッサおよびタービンブレードを支える高速軸系の二つの回転軸で構成される。速度を検出するビトー管。ピトー管が検出する全圧(動圧+静圧)と静圧孔が検出する静圧は計器内部のダイヤフラムの内側と外側へ伝えられ、ダイヤフラムは全圧と静圧の差(動圧)によって伸縮、つまり動圧の変化を表すのでこれを機械的に指示、コンピューターに伝達することにより対気速度を指示させる。鳥のアタックによるメカの被害(バードストライク)を防ぐべくバードパトロールが空砲を撃つのだが、保護団体に邪魔され、飛行機は飛び立ち…。

 本作は搭乗スタッフと地上スタッフの連携でトラブルに臨むという点では、『アポロ13』のようなスリリングあふれる作品だが、綾瀬はるかのホンワカしたキャラがサスペンス・コメディー風に仕上げているようだ。