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第98回 7/29~30開催 DISKCON JAPAN 2010に見るデータストレージのこれから

seagate提供:Seagate 米国ドライブメーカーのシーゲイト社では先ごろ、世界初3テラバイト(TB)の記録密度を持つ外付けのハードディスクドライブ(HDD)を市場に投入した。3TBがどの程度の容量かというと、120タイトルのHDムービーと1500のビデオゲーム、数千点の写真、音楽をいれられるそうである。この大容量化し続けるHDDの業界唯一の総合イベント「DISKCON JAPAN 2010( http://www.idema.gr.jp/diskcon )」が、IDEMAJAPAN( http://www.idema.gr.jp )主催で開かれる。最新のストレージ関連製品・技術の展示会と、市場動向・技術動向に関する講演会「国際ディスクフォーラム」の同時開催となる。

 さて、HDDの大容量化を支えるメカニカルな技術としては主に、記録媒体であるディスク(HD)を回転させるスピンドルモータ、ディスク上で記録再生を行うヘッドスライダー、それを支えるサスペンション、ヘッドの位置決めを行うボイスコイルモータなどがある。

 HDDでは、回転するディスク上に記録再生素子(磁気ヘッド)を搭載したスライダーを浮上させて記録再生を行うため、記録密度を向上させるには、ヘッドとディスクの浮上すき間を低減する必要がある。現在この浮上すき間は10nm(1nmは10億分の1m)を切るレベルまできており、ディスクとスライダーが接触する可能性が高まってきている。この接触により磁気記録層にダメージを与えデータが破壊されることのないよう、ヘッドおよびディスクに低摩擦で耐摩耗性の高いDLC(ダイヤモンドライクカーボン)などのカーボン系保護膜がコーティングされ、さらにディスク保護膜の上には1分子層の潤滑油膜が形成されている。現在4~3nmの保護膜についても1nm薄くするだけで記録密度向上に利いてくることから、FCA(真空中でのアーク放電によりプラズマ化したカーボン粒子を表面に堆積させる)成膜技術により2nmの保護膜を形成する研究開発なども進められている(富士通研究所、フェローテック)。

 たとえばサーバ向けで15,000回転という高速スピンドルモータでは、高トラック密度化が進む中、かつてのボールベアリングに見られる回転に同期しない振れ(NRRO)がない流体軸受が使われている。流体軸受のスリーブでは、動圧を発生させるヘリングボーン溝の加工技術や作動オイルの技術が今なお開発・改良されている。

 また磁気ヘッドを取り付けたアクチュエータの支点部分に使用されるピボット軸受では、攪拌抵抗が少なく、また揺動によるフレッチング摩耗を防ぐグリース技術や、耐久性を高めるボールや保持器の技術が適用されている。

 日立グローバル ストレージテクノロジーズや東芝ストレージデバイスなどドライブメーカーはもとより、これらHDD部品における日本メーカーの技術優位性は高く、たとえばスピンドルモータでは日本電産やミネベア、ピボットベアリングではミネベアや日本精工、ディスク(HD)では昭和電工や富士電機デバイステクノロジー、HOYA、ヘッドではTDK、サスペンションではニッパツなどが、世界的にも高シェアを占める。

 今回開催されるDISKCON JAPAN 2010の主催者IDEMA JAPANは、こうしたドライブメーカーや部品メーカー、材料メーカー、製造装置メーカー、試験評価機器メーカーなどが参加、ディスクドライブ業界の健全な発展と交流促進を目的に、最近ではHDDの信頼性を脅かすイオン性のマイクロコンタミネーションを測定・評価する改訂案を提起、10年ぶりに新しいグローバルスタンダード(イオンコンタミ測定)を成立させるなど、業界のデファクトスタンダードの確立にも取り組んでいる。

 さらにIDEMA JAPANでは、HDDの市場を脅かすといわれてきたSSD(メモリー媒体の記録装置:ソリッド・ステート・ドライブ)メーカーも加え、活動を広げている。IDEMA JAPAN専務理事の安達三郎氏は、「今回のDISKCON JAPAN 2010でもSSDの技術やアプリケーションに関する一大セッションを設けている。HDDは大容量、SSDは安価でコンパクト、大データ転送などが得意と、すみ分けが明確化してきており、SSDの採用拡大と同時に、信頼性、大容量化による低価格化など、HDDの今後の課題も具体化してきている」と語る。

 パソコン向けのほか、カーナビゲーションシステム、HDDレコーダー、ゲーム、さらにはクラウドコンピューティング、グリーンITなどアプリケーションが拡大するなか、DISKCON JAPAN 2010を通じて、HDDやSSDなどデータストレージの方向性をじっくりと見てみたい。