第43回 ガンの早期発見・低侵襲医療を図る内視鏡技術

提供:富士フイルム提供:富士フイルム 富士フイルムが鼻から挿入する高画質・広角タイプの経鼻内視鏡を開発した。口から挿入する従来の経口内視鏡検査に比べて、経鼻内視鏡は嘔吐感が少なく、会話もできることから、医師からも患者からも「コミュニケーションをとりながら、安心感のある胃の検査ができる」、「麻酔が最小限に抑えられ日常生活に早く復帰することができる」などと好感され、採用が進んでいる。今回の開発ではさらに、140°という広い視野角で観察範囲を拡大したほか、モニター画面の表示画像も約1.5倍とし、胃ガンの早期発見に貢献するとしている。

提供:オリンパス提供:オリンパス 内視鏡のシステムは、ビデオスコープとビデオシステム本体(カラーモニター、ビデオプロセッサー、光源装置)の二つに大別される。ビデオスコープは、操作部、挿入部、先端部、接続部(コネクター部)からなり、接続部(コネクター部)がビデオシステム本体につながり、伝達される画像はモニターで観察、このモニターには最先端技術のCCDと極細スコープで高精度画像が送られる。

 操作部には、内視鏡の湾曲を上下左右に制御するアングルノブ、送気送水ボタン、吸引ボタンや処置具を挿入する鉗子口がついている。管の中でワイヤーが二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤により滑らかに動くことで、不快感の少ない観察や処置が可能になる。

 内視鏡の先端部には、臓器内部の粘液や血液で先端レンズが汚れたときに水や空気を噴出して洗い流すノズルや、対物レンズを通じて画像をとらえるための超小型高性能カメラ(CCD)などが埋め込まれている。

 一般に経口内視鏡は管の外径が約9?で、内視鏡が舌のつけ根を通り、のどに触れることから、挿入による不快や吐き気を覚えることが多い。これに対し、開発された経鼻内視鏡の先端部の外径は約5.9?と鉛筆よりも細いため、嘔吐感の少ない負担の少ない手法として、「93%の患者が次回も鼻からの内視鏡検査を希望する」というアンケート調査結果も報告されるほど、採用が進んでいるという。

提供:オリンパス提供:オリンパス また、オリンパスではマイクロマシンの技術を応用、コップ一杯くらいの水で飲み込むだけで小腸の状態をリアルタイム観察できるカプセル内視鏡を開発している。カプセルは消化管の蠕動(ぜんどう)運動によって、飲んでから1?2時間くらいで胃から小腸に達する。カプセルは動作している間、毎秒2コマの割合で撮影を続け、画像を送信、画像データは体につけたアンテナを通じて受信装置に記録され、検査終了後にドクターがそれを見て診断を行う。錠剤大のカプセルのため、違和感も少ないという。 

 体内の汚れが付着しないよう、カプセルの表面ができるだけ滑らかな状態を保つよう厳しい管理で作りこむ。薬剤の安全性を確認する必要がないよう、表面に特殊な薬剤を塗ることはしていない。腸内を進んでいくにつれて、汚れが自然と後ろに掻き出されていくようなカプセル先端の形状が工夫されている。

 ガンは早期に発見・治療をすることで、治る可能性も高くなる。従来の経口内視鏡などでみられた不快感を軽減し、負担の少ないこうした内視鏡の技術が登場することにより、気楽に、より早く検査を受ける患者が増えてくる後押しとなることだろう。ガンの早期発見につながる低侵襲の医療技術の進展に期待したい。