第50回 住空間で活躍し始めた清掃ロボット

 自動車をはじめとする生産現場の稼働率の低下から産業用ロボットの出荷が低迷する一方で、オフィスや家庭など住空間での業務支援ロボットの活躍が増えてきている。特に清掃ロボットの普及は目覚ましい。
記者には、ビルのクリーニングで起業し、景気の波にも左右されることなく安定経営を続けている知人がいるが、一般に仕事の過酷さや労働条件から慢性的に労働者不足に悩まされているのは、この清掃業や警備などサービス業であり、文句を言わず働くロボットの活躍できる領域でもある。

清掃ロボット提供:住友商事
 たとえば東京・晴海のトリントンスクエアでは、3棟それぞれ19~39階のオフィス階で、清掃ロボット7台が働いている。この労働を人手に置き換えると20人以上の作業者が必要になるが、現在はロボットの倉庫からの出し入れを含め、1人の人間が管理しているという。採算が十分見合うだけでなく、人の場合に考慮すべき労働安全面の手数が軽減されよう。このロボットは住友商事が扱うもので、6時間のフル充電で、約4時間、3,000m2を掃除する。走行速度は通常m/分(時速1.8km)。赤外線や超音波など複数のセンサーで人や壁、障害物を検知し自動的に避けて清掃を続けるなど、オフィスで働く人や物品に危害を加えることはない。この安全性と信頼性、高効率から、清掃ロボットはすでに駅や空港などでも活躍しているという。
清掃ロボット概要図
iRobot社:ルンバ(底面)提供:アイロボット 一方、家庭でもお掃除ロボットが普及してきている。その代表格がiRobot社のルンバ。吸引だけに頼らず(1)かき出す(エッジクリーニングブラシ):エッジクリーニングブラシが側面から飛び出し、毎分300回転、壁際や部屋のコーナーなど取りにくいゴミを前方にかき出す、(2)かきこむ (デュアルパワーブラシ、角度自動調整機能付):絨毯には毎分1,000回転のメインブラシ、フローリングには毎分1,600回転のフレキシブルブラシを主に使用、この新設計デュアルパワーブラシの接触面の角度を床材に応じて自動的に変化させ、床面のゴミほとんどを内部のダスト容器にかきこむ、(3)吸いとる(密着ワイパー型吸引口):わずか1㎜幅まで狭くした吸引口がワイパーのように床面に密着、強力な吸塵力を生み出し、(1)・(2)で取りきれなかった繊細なホコリやダニの死骸も残さずにキャッチする機構。

 iRobot社の名前の由来は、アイザック・アシモフの「われはロボット」だろう。この作品で子守りロボットなる家庭で働くロボットが初めて登場したとおり、家庭で身近なロボットとして清掃ロボットが普及してきている。同作品で定められたロボット三原則にある「人に危害を加えない」ように、センサーで障害物を検知し、対物、対人面での安全性と自身の保護も実現している。すでに世界で30万台以上売れており、家庭の人気者となっている。

 清掃ロボットを皮切りに、家事支援ロボットや介護ロボットなど、人と共生するロボットの市場が拡大することに期待したい。