第01回 自動車の軽量化手法

 中古車販売のガリバーインターナショナルの調査では、排気量が2L前後から上のクラスの自動車を保有していた人が、軽自動車を含む1.5L以下の車に買い替える割合が増加しているという。燃料の高騰を受け、燃費の良い小型車を選ぶ傾向が鮮明になったわけだが、省燃費化では軽量化は大きな手法の一つだ。軽自動車はその車体重量から燃費は良いとされるが、普通車や大型車でも、ピストンのアルミ化、耐熱性や耐久性などの条件が厳しいバンパーやインパネの樹脂化(マツダでは生分解性樹脂化)など、自動車部品を軽量化しつつ、剛性も保持する技術開発が進んでいる。

 たとえばNTNでは、高温になるエンジン補機ベルトに使用されるアイドラプーリとして、軽量で長寿命な「補機用高温樹脂プーリユニット」を開発した。樹脂プーリユニットは従来、放熱性が悪く軸受が高温になりやすいため、軸受のグリース寿命を著しく低下させるなどの問題があったが、軸受外輪の放熱面積を増加させ軸受外輪温度を低下させたり、長寿命グリースの開発などで、従来の樹脂プーリユニットと比べ2倍以上、鉄プーリユニットと比べても同等以上の軸受寿命向上と重量の65%低減を実現している。

 また、ジェイテクトは、軽量化とアクスルユニットの組立工程の簡素化を実現した駆動輪用の「シール別体型ABSセンサ内蔵ハブユニット」を開発した。シールとABSセンサを別体とし、軽量化、コストダウンを実現している。

 さらに、日本精工は、ハブユニット軸受に適用可能なハブユニット軸受内蔵型車輪速センシング用プラスティック磁石エンコーダを開発、従来のゴム磁石製品比25%の高磁力化を達成、磁気エンコーダのコンパクト化による軸受のダウンサイジングを図り軽量化に貢献しているという。

 以上のように、軽量化を目的とする樹脂材料などへの置換えにあたっては、従来の鋼製材料に相当する、あるいは凌駕する剛性や耐熱性を補うべく技術開発が進んでいるようだ。

 先のマツダの例のようなバンパーなどと違い、軸受のような可動部品に生分解性樹脂が使えるものかと疑問視されていたが、日本精工では、生分解性樹脂であり耐熱性に優れるポリビニルアルコール(PVA)系樹脂に、強度を向上させる繊維状補強材と柔軟性改良剤を配合することによって、適度な柔軟性が付与されポリ乳酸より引張強度、剛性をそれぞれ高め、融点が約200℃、120℃の高温下で1,000時間放置しても、劣化がほとんど生じないレベルまで耐熱性を向上、構造部材として実用に耐えるレベルを実現しつつ、土壌中を想定した環境では180日で60%以上生分解することが確認されている。同社では、軸受の構成部品である保持器・シールをこの高強度生分解性樹脂製とし、内部に生分解性グリースを充填した環境配慮型転がり軸受を試作、評価した結果、50%の低トルク化達成で省エネルギーに貢献することが期待できるほか、100℃、10,000回転、5,000時間の耐久試験で十分な耐久性が確認できたという。

 軽量な材料は従来の鋼製材料に比べれば脆い。自然環境で分解される生分解性樹脂はなおのことだろうが、脆さと耐久性というトレードオフを見事に克服しつつある。こうした技術の一つ一つが自動車の軽量化、さらには省燃費化を支えている。今後もニュースを通じて、秀逸なテクノロジーを見てみたい。